早く噛めるようにしたい!
インプラント治療のオペが1回で完結するスピード治療!
従来までのインプラント治療では、2度の手術が必要でした。1度目にインプラント体を埋め込み、2度目のオペで該当部位を切開して連結パーツのアバットメントを取り付けるという流れです。
これは顎骨とチタン製のインプラント体がしっかりと結合するための「待ちの時間」であるため、インプラント体を埋め込んでも実際に噛めるようになるまでに相応の時間を要していました。インプラント治療をお受けになる患者さまは、誰しも「早く自由に快適な食事を楽しみたい」と考えています。
この思いに前向きな回答を出してくれるのが「即日インプラント」と呼ばれる方法です。インプラント治療の全ての工程を即日完結させられるものではございませんが、2度に分かれていた手術を1回に集約させて患者さまのお身体への負担を軽減させたり、オペ当日に仮歯までをつけて即日お食事を可能にしたりすることができる治療法です。
このようなインプラント手術の1回法にもいくつかの種類がございますので、当ページでそれぞれの概要やメリット・デメリットなどをご案内いたします。
即時荷重インプラント
「即時荷重インプラント」とは、インプラント体を埋入する手術を実施した際に、即日接続パーツ(アバットメント)と仮歯までを装着し荷重を加える方法です。 通常の方法(オペを2回実施するもの)では、インプラント体と歯槽骨の結合を待つため、インプラント体を埋めた後に歯茎を縫合し、この状態で数ヶ月程度の経過観察が必要でした。この期間中は強い食事制限が加わってしまい、日常生活を不便なものにするというデメリットがございました。こちらの即時荷重インプラントで治療いただく場合、術後に直ぐ仮歯が入るため強いお食事制限を受ける必要がなく、見た目の違和感のなさという点でもご安心いただけます。
「即時荷重インプラント」のメリット / デメリット
メリット
- 治療期間が短くなるため、通院回数を少なくできる
- オペの回数に比例し身体的負担(腫れや痛み)を軽減できる
デメリット
- CT設備等がしっかりと整った歯科医院でしか実施できない
- 骨量や骨質や噛み合わせなどに問題がない患者さまにしか実施できない
- 治療費が高くなる
※即時荷重インプラントであっても、インプラント体と顎骨がしっかり結合するまでには、数ヶ月の歳月を要します。
抜歯即時インプラント
「抜歯即時インプラント」とは、抜歯後にできた穴に対してそのままインプラント体を埋め込む手術を実施するものです。抜歯に至る過程には様々な背景事情がございますが、抜歯後に治癒してから再度歯茎を切開する方法に比べ、身体的なご負担を大きく抑えることができます。また、抜歯後には傷を治そうとする生体治癒力が生じますので、これをインプラント手術の傷の治りに活用することができます。術後に腫れや痛みも生じにくくなりますので、何かの理由で抜歯を選択せざるを得ないケースでは、抜歯オペ実施前に「抜歯即時インプラント」を考えてみるのも一つの方法です。
「抜歯即時インプラント」のメリット / デメリット
メリット
- オペで歯茎を切開するといった身体的ご負担を低減できる
- 術後、生体治癒力を活用したスムーズな回復が期待できる
デメリット
- 歯周病などの細菌感染が抜歯原因の場合、「インプラント周囲炎」を引き起こす可能性が一定程度高まってしまう(抜歯後の患部を適切に滅菌するノウハウ自体は確立されています)
- オペの実施には顎骨の骨量や骨質に厳しい条件が加わる
1回法インプラント
「1回法インプラント」とは、通常の2回法とは異なり、インプラントの手術を1回で完結させるものです。「即時荷重インプラント」との違いは、「インプラント体+接続パーツ(アバットメント)」の上に「仮歯」を付けてしまうかどうかといった違いだとお考えください。「1回法インプラント」では、「インプラント体+接続パーツ(アバットメント)」までの工程をオペで実施し、その後に経過観察を経て仮歯や天然歯を付けていくということになります。「即時荷重インプラント」も1回法インプラントというカテゴリーには入るのですが、仮歯をつけて荷重を加えるという点を含んでいる場合には、医院によって「即時荷重インプラント」と呼ぶケースがあるということになります。
「1回法インプラント」のメリット / デメリット
メリット
- オペを1回に抑えられるため、患者さま心理、身体的影響の両面において負担を軽減できる
- アバットメントが露出しているため、インプラント体と顎骨の結合具合を外部から把握しやすい
デメリット
- お食事などで外圧を受ける可能性があり、インプラント体の結合が遅れてしまう可能性がある
- 露出部分からの細菌感染リスクを一定程度高めてしまう
- 十分な骨量や骨質などでオペの実施に条件が加わる
できるだけ痛くなく治療したい!
お身体に優しい無切開法(フラップレス術式)!
「無切開法(フラップレス術式)」とは、インプラント治療で患者さまの身体的負担を軽減させる方法の一つです。文字通り歯茎を切開せずにオペを完結できるもので、手術の時間自体を短くするだけでなく、想定される痛みや治癒時間を低減させる効果があります。
具体的には「サージカルテンプレート」と呼ばれるインプラント埋入用の型(マウスピースのようなもの)を患者さまのお口に装着し、テンプレートの穴に沿って専用器具で数ミリの穴を開けてインプラント体を埋入するというプロセスになります。このテンプレートは、患者さまのCTデータをコンピュータに取り込み、3Dシミュレーションを経て導き出したベストな埋入ポジションを精密に反映させたものです。
患者さまのお口環境にそのままフィットする型となっているため、穴を開ける際にピンポイントでベストなポジションを捉えることができ、通常のオペ手順に比べて圧倒的にヒューマンエラーを封じ込めることにも成功しています。
通常のインプラント手術と無切開法(フラップレス術式)のオペ実施手順の違い
通常のインプラント手術(切開あり手術)
歯茎の切開
対象となる顎骨の上部の歯肉をメスで切り開きます
インプラント埋入
顎骨を露出させ、専用のドリルで穴を開けてインプラント体を埋め込みます
縫合
インプラント体の埋入後、インプラント体の先端部分を覆う形で歯肉を被せて縫合します
二次手術
数ヶ月の経過観察を経て再び該当部位を切開し、アバットメントや仮歯の装着を行ないます
無切開法(フラップレス術式)
ドリリング
患者さまのお口環境を反映させた「サージカルテンプレート」をお口に取り付け、専用の器具で数ミリの穴を開けます
インプラント埋入
穴を開けた箇所にインプラント体を埋入します
接続パーツの装着
仮歯を装着するための接続パーツ(アバットメント)をインプラント体に装着します
仮歯の装着
状態を見てアバットメントの上に仮歯(プロビジョナル)を装着します
無切開法(フラップレス術式)のメリット
- 患者さまのお口環境を反映した高精度3Dシミュレーションにより、高い安全性が確保されます
- 歯茎の切開及び縫合処置が不要となり、手術時間と治療回数が共に低減します
- 歯茎を切開する工程がないため、「出血・腫れ・痛み」などが大幅に軽減されます
- オペ実施部位の治癒が早まり、美しい見た目(高い審美性)にいち早く到達できます
- 外科手術用のメスを使用しないため、患者さま心理で安心材料となります
- インプラント体の埋入後に安定した状態が得られれば、当日に仮歯を付けることもできます
無切開法は、All-on-4(オールオンフォー)にも採用~入れ歯とのお取替え患者さまにも適用~
All-on-4(オールオンフォー)とは、上顎下顎それぞれ4本~6本までのインプラント体を固定源とし、上下それぞれに12本までの連結した人工歯をお付けいただける治療法です。歯茎によって支えられている入れ歯とは異なり、顎骨に結合したインプラントに人工の連結歯をしっかりと固定していますので、快適な噛み心地を実現します。
噛む刺激が脳に伝わり老化防止にも一役買いますので、現在総入れ歯をお使いの患者さまには前向きにご検討いただきたいものです。こちらのAll-on-4(オールオンフォー)のオペにつきましても、上述した歯茎を切開しない「無切開法(フラップレス術式)」が採用されていますので、身体的なご負担を少なくしてオペを完結させることができます。
また、All-on-4(オールオンフォー)では上図のように傾斜をつけてインプラント体を埋入する技術が用いられるため、比較的顎骨の骨量が少ない患者さまでも手術をお受けいただける可能性が高くなっています。傾斜角度によって接着面積が高まりますので、4本~6本のインプラント体であっても十分に連結人工歯を支えることができます。All-on-4(オールオンフォー)については、専用ページがございますので併せてご覧ください。