インプラント治療のトラブル未然防止策
インプラント手術の失敗事例
インプラント手術で最も多い失敗事例は「感染症」です。これは医療器具などの衛生管理体制が不十分なことによってもたらされるものです。
当院の場合は、専用の個室オペ室を完備しクリーンな環境でオペを実施しています。各医療器具も完全な滅菌処置を施すという体制が十分に確立されていますのでご安心いただけます。
感染症以外で気を付けなければならない失敗事例は、インプラント体を埋入するための穴を深く開けすぎてしまう行為「過度な穿孔(せんこう)」や、顎骨の中に想定以上にインプラント体が埋もれてしまうといった事例「インプラント体の迷入(めいにゅう)」です。このような失敗事例を引き起こさないための当院の対処法をご確認ください。
「過度な穿孔」や「インプラント体の迷入」はなぜ起こる?
オペで「行き過ぎた穿孔」や「インプラント体の迷入」が生じるのは、顎骨の硬さを適切に把握できていないという背景事情があるためです。「骨が想定よりも軟らかかった」といった理由でこのようなトラブルが生まれてしまいます。 このため、オペの事前検査時やオペ実施の際にも顎骨の硬さに配慮し、患者さまのお口環境に合わせた埋入法を選択する必要があります。当院が取っている処置は具体的に次の3つのものです。
オペ前の顎骨の精密検査とタイプ別分類
平面的なレントゲン画像と立体的なCT画像データを組み合わせ、骨量(骨の高さや厚み)と、骨密度(骨質)の2つの観点から顎骨の状態を次のような4タイプに分類しています。
- クラスⅠ…非常に硬い骨
- クラスⅡ…少し硬めの骨
- クラスⅢ…少し軟らかめの骨
- クラスⅣ…軟らかい骨
このクラス分けにより、オペ担当者側の注意喚起を明確に促すことができます。
各クラスに合わせた最適な器具による穴あけ
事前の精密検査で分類した4タイプに合わせ、次のようなドリルや器具を使い分けます。
- 非常に硬い骨…ドリル
- 少し硬めの骨…超音波切削器具
- 少し柔らかめの骨…オステオトームやボーンエキスパンダー
- 軟らかい骨…オステオトームやボーンエキスパンダー
このような使い分けにより、穴を開ける際の力加減をコントロールできます。
インプラント体の構造自体で防止
インプラント体には、太さが均等なものと先端に行くほど細くなっているものがあります。後者をテーパータイプと呼んでおり、当院はこちらのものをメインで使用しています。テーパータイプの優れている点は、インプラント体を埋め込んでいく際に、上部の直径が潜り込みすぎのストッパーの役割を果たしてくれるという点にあります。また、ストレートタイプを使用する際にも、インプラント体の頭部スクリューカバーをインプラント体の直径よりも太いものを使用し、「行き過ぎた穿孔」や「迷入」を回避できるように配慮しています。